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合格体験記:私の新司法試験対策

津田 麻紀子さん

津田 麻紀子さん

東京大学法科大学院 既修者コース修了

 

はじめに

 私、津田麻紀子は、東京大学法学部から同法科大学院に進学し、第4回新司法試験を受験しました。大学1年の秋から予備校に利用してはいましたが幾度となく頓挫し、真剣に勉強を始めたのは大学3年生くらいでした。のんびりした学校の風潮の中では比較的ストイックに勉強していましたが、勉強期間が短すぎたためか、旧司法試験は3年も4年も択一落ちでした。

 そんな常時勉強不足を痛感していた私の効率が良かったのではないかと振り返れば思う勉強法を、僭越ながら紹介させていただきます。

短答式試験の勉強方法

  1. 法科大学院1年目
    正直、対策らしい対策はしていませんでした。もっとも、入学してすぐの旧試験を受験しようかとも考えていたため、5月までは憲法の百選や民法の過去問やテキストをじっくり回しました。
  2. 法科大学院2年目

     進級と共に、教科書を読みながら「多肢択一式問題集」(早稲田経営出版)を解くという作業を始めました。教科書は長くて頭に入りにくいので、一定分野の問題を解き終わった後に教科書の該当箇所を読むという方法を採りました。夏学期には授業も忙しく、当時基礎知識すらままならなかった民訴と商法くらいしかできませんでしたが、そのとき間違えた肢にチェックをし、教科書に色分けをしておくことで、2周目以降が楽になりました(結局それ以降、教科書を通読できませんでしたが…)。時間のあるうちに、不勉強な科目から面倒な作業を済ませてしまったのはよかったと思います。

     秋からは学校がほとんどなくなり、残りの科目でも同様の作業を繰り返しました。スタートとペースが他人より遅く、焦りそうになることもありましたが、短答は短期記憶と割り切って自分の調子を崩さなかったのが吉と出たと思っています。

     また、「多肢択一式問題集」はかなりボリュームなので、1日20問とノルマを決めて友人と罰ゲームつきで進めました。実際はそれに上乗せしてこなしていましたが、これだけでも4ヶ月経たないうちに全科目を解き終わることになります。分野によっては手も足も出ない問題をストレスなしで回すには、ゆっくりこつこつとやっていくのが有効でした。

  3. 卒業後
    直前期には、「多肢択一式問題集」の間違えた肢の知識をパソコンに打ち出すという作業を全科目で行いました。やむなく1周しかできなかった科目について、チェックしていない肢が本当にできる肢なのかが不安になるときもありましたが、1周目の自分を信じてなるべく1科目1日で一気に終わらせるようにしました。この手法は短期記憶の定着には極めて有用で、本番前もその資料のみを見直せば大丈夫です。当日の休み時間が想像以上に短く、公法系と刑事系は全部を見直せなかったことを後悔しましたが…。
  4. まとめ
    少し触れたとおり、短答プロパーの知識は短期記憶が全てです。直前期に「多肢択一式問題集」の肢を全て覚えれば十分です。最悪問題集を1周しかできなくとも合格点には届きます。私自身、「多肢択一式問題集」を全て回せたわけではありませんし(過去問は何回か反復しましたが)、全ての肢を記憶して臨んだわけでもありません。加えて、手ごたえは最悪でした。しかし、合格点からは若干余裕のある237点を取ることができました。決して良い点数ではありませんが、勉強量を考えれば、戦えていたのではないかと思います。

論文式試験の勉強方法

  1. 法科大学院1年目
      受験対策らしいものはせず、学校の授業を受ける体制や文献を読むことへの耐性を整え、法律の勉強の奥深さをかじっていました。
  2. 法科大学院2年目

     夏学期は、授業以外は特別何もしませんでした。
    秋からは、Wセミナーの「論文式答案練習会」と合わせ、時間のあるうちに論文の勉強をメインに行いました。過去問をはじめ、判例を読んだり授業の復習をしたりして必要と感じたことをその都度やっていたので、時間がかかったわりにはこれといって何かを完遂したわけではありません。私の場合は旧試験で覚えた知識が長期記憶となっていたものが多かったので、その穴を埋め、理解を十分なものにするために問題を解いたり教科書を読んだりしたという感覚でした。

     過去問については答案を書いていないものが最後まで残ったままになり、もう少し真剣に検討すべきだったとは思いますが、羽広先生のコメント満載の「新司法試験・論文式試験 再現答案集」(Wセミナー刊)が答案作成上の留意点を簡潔に習得するのに便利でした。採点基準が発表されている訳ではない試験において、どのような箇所に重点を置いて文章を組み立てるべきかの方向性がクリアになりました。これまた、自分が特に注意すべき点を書き出し、そのメモを論文試験に持参していました。

  3. 卒業後
    直前期は、論証の確認のみ行いました。ここでは新しい知識は入れませんでした。

答案練習会の活用法

 前述の通り、私は「論文式答案練習会」に10月から半年間利用していました。なお、旧試験の時も論文答案練習会に参加していましたが、以下は新試験対応のものにのみ焦点を絞ってお話しします。

 民事系は勉強が進んでおらず、拘束時間が長いためにサボったりもしていましたが、出席した回は頭が沸騰するほど集中しました。真剣に取り組むと疑問点や自分の分かっていない箇所が試験時間に次々浮かび、それを忘れないように表紙に書き留め、即座に復習していました。ひっかかった部分は定着もしやすいので、是非全回とも参加をし、必死に問題に喰らいつくことをお勧めします。これは受講生と共に練習会の現場で行わなければ効果が落ちるものですので。

 また、特に公法系について、答案を何通か書いているうちに、新試験特有の答案の書き方が見えてきました。憲法は特殊な問題形式に慣れ、行政法は毎回同じようなことを書いていることに気づきました。それ以降、憲法は沈まず、行政法は得点源にするという状態になったのですが、それは「論文式答案練習会」において五里霧中ながら無理矢理でも答案を作成していったことの成果だと思っています。民事系もきちんと参加していればよかったと後悔しています。

 更に、友人と返却された答案を見せ合ったこともありました。もう少し詰めてできればよかったのですが、友人が何を書き、何を悩み、何をコメントされているのかを見るのはとてもためになりますし、友人に見せるのだからいい加減な答案では申し訳ないという気分で答案練習会に行くので張り合いが出ます。毎週やっていればもっと役に立ったと思っています。

 注意点として、本番は慎重になるためか時間が足りなくなります。答案練習会では時間配分の練習の意味もありますが、私は意図的かそうではないかは置いておいて、本番の75%くらいの時間で構成と清書をするようにしていました(余った時間は勿体無いので退出していました)。本番もそのスピードでやったつもりだったのですが、時間ぴったりでした。途中答案だけは避けたいところですので、自分に負荷をかけた状態に慣れておくのも1つの方法かと思います。

おわりに

 人は忘れる生き物です。それは私の周りの秀才たちでもほとんどがそうでした。旧試験に受かった友人が言っていたのは、「長い時間勉強しているやつらの長期記憶に、短期記憶で勝てばいい」。無駄な反復を極力減らして本当に大事なのに自分がよく分かっていないことをなくすことが真っ先にやるべきことだと思います。

 以上は私の拙い経験ですが、ご参考になる箇所があれば幸いです。淡々と勉強し、楽しく息抜きをしながら皆さまが合格されることを、お祈り申し上げます。

 

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