新司法試験 合格者座談会
参加者
![]() |
竹村 嘉洋さん
出身大学:東京大学法学部法科大学院:東京大学法科大学院(既修者コース) 新司法試験受験歴:3回
目指した理由:海外ボランティアがきっかけで専門知識習得の必要を痛感したため。 |
![]() |
足立 昌聡さん
出身大学:東京大学工学部法科大学院:東京大学法科大学院(未修者コース) 新司法試験受験歴:1回 目指した理由:科学技術と法律、両方の知識を持ち、両者の掛け橋となれるように。 |
![]() |
山形 美紗さん
出身大学:早稲田大学法学部法科大学院:東京大学法科大学院(既修者コース) 新司法試験受験歴:2回 目指した理由:結婚・出産・育児を経て、社会に戻るためには資格が必要と感じて。 |
![]() |
馬屋原 達矢さん
出身大学:早稲田大学法学部法科大学院:早稲田大学法科大学院(既修者コース) 新司法試験受験歴:1回 目指した理由:ドラマ「カバチタレ!」で法律の怖さ・面白さを知り、あこがれを抱いたから。 |
司会
![]() |
羽広 政男先生
弁護士、TAC・Wセミナー司法試験講座専任講師 |
試験範囲は広大。早めの試験対策を!
| 合格おめでとうございます。最初に試験対策についてお聞きしますが、新司法試験対策はいつ頃から始めましたか。また、大学院との両立はいかがでしたか。 | |
|---|---|
| 足立 | 私は未修者コースだったので、早めに取りかかるよう再三言われていました。2年の夏頃から民法を、他の科目は11月頃から始めました。2年の時は大学院の授業も多く土日もフル稼働でしたね。3年になると授業も減り、両立は楽になりました。TAC・Wセミナーには3年の秋口から通い始めました。その頃には大学院のカリキュラムもほぼ終わっており、試験対策中心で勉強していました。 |
| 竹村 | 2年の秋頃から始めました。私は大学院も受験対策もそこそこにやっていたので両立で苦労はしませんでした。 |
| 山形 | 大学院の授業に併せて判例を読む勉強会を組んでいました。授業対策をしつつ、その範囲の試験対策もしてしまおうという欲張な勉強会で、1年のうちからやっていたので早い方だと思います。でも、それほど両立で大変とは思わなかったですね。 馬屋原 早稲田大学は1年目で基本的に試験に直接関係がない科目を、2年目は試験に直結するような科目を選択できるようにカリキュラムが組まれています。だから2年の最初、授業を選択する時点で対策は始まっていたと思います。大学院とは別に始めたのは秋口ですね。前期に必要となる授業をすべて取り、後期は試験対策に集中できるようにしました。 |
| 試験対策で何か苦労したことはありますか。 | |
| 山形 | 全体的に苦労したといえばそうですし、何も苦労していないといえば苦労していません。難しかったのは2回目の受験の際、大学院の授業もなく、完全に自分で組み立てなければならないフリーの時間が半年以上残されていたことです。5月までの大まかな計画と、細かな計画をどうやって自分で立てて行くのかにすごく気を使いました。 |
| 足立 | 私は試験範囲が広大だということで苦労しました。例えば、憲法から始めて一巡して憲法に戻る時には、2〜3カ月が経っています。どれくらいのペースで回して行けば、忘れることなく全範囲を押えられるのかがわかりませんでしたね。答練を受け始めると、次週の出題範囲が決っていますから、ペースメーカーとして答練を利用できて楽になりました。 |
| 竹村 | 私は3回目の受験での合格ですから、大学院卒業から時間が経ち、試験の情報が余り入って来なくて不安になりました。また、時間の使い方を含め、自分をコントロールするのに苦労しました。 |
| 馬屋原 | 演習書を選ぶ際にいろいろ出ていて、何がいいのかわかりませんでした。科目によっては逆に出揃っておらず、選ぶのに困ったことを覚えています。 |
| 試験対策でもっとこうした方がよかったということはありますか。 | |
| 馬屋原 | 演習書はもっと早くから、1年から始めてもよかったと思いました。演習書は授業にも有効だと思います。実際には試験対策として、出そうなところを見ただけなので、もったいないことをしたと思っています。 |
| 山形 | 私は2回目の受験勉強については、おおむね満足しています。これで受からないのなら私は受からないんだ、と思っていました。1回目は演習量が足りなかったし、インプットの目的をもっと考えてやればよかったと思いました。 |
| 足立 | もうすこし教材を絞り込んだ方がよかったと思います。あれこれと手を出してしまい、1科目について基本書も演習書も2〜3冊あって、どれをやればいいのか決めかね、全部やる選択をしました。その結果、理解が薄くなってしまいました。勉強会も1年生から合計23の勉強会をやりましたので、量的負担が重く、もう少しスマートに出来たのではないかと思っています。 |
不合格からの立ち直り
| 竹村さんと山形さんは不合格の経験がありますが、そこから立ち直るのは大変ではありませんでしたか。 | |
|---|---|
| 竹村 | 1回目に落ちた時はある程度予想していました。択一に受かればラッキー、と思い、それほどへこみませんでした。2回目はそれなりに勉強したつもりだったので、精神的に追い込まれてつらかったですね。そこで立ち直って行くにあたり気をつけたのは、生活のリズムをきちんとしようと言うことです。私は体力作りとリフレッシュでランニングを取り入れたのですが、精神的な高揚が得られて、落ち込んでいる時にはいいですよ。 |
| 山形 | 私は意外と立ち直りが早かったですね。試験の出来として、ある程度予想はしていましたが、周りに受かっている人が多くて落ち込みました。2回目の受験を決めていたので、出来るだけ早く勉強会を作り、勉強を始めようと考えました。そして、へこんだままですが、自分の敗因分析を始めました。人に答案を読んでもらったり、自分で分析すると、悪かったことがわかってきて、進む方向性が見えてきます。 |
選択科目は、環境と適性と好みのバランス
| 選択科目について、選んだ科目とその理由を教えてください。 | |
|---|---|
| 馬屋原 | 私は町弁を目指しているので、必ず相続関係が絡んだ相談が来ると考え租税法を選びました。1年の後期から授業を取りましたね。 |
| 山形 | 私は倒産法を選択しました。科目選択に大きな意味はなく、大学で倒産法を教えていた先生が破産法の立案担当者で、かつ司法試験の試験委員も経験された方でした。質の高い授業が受けられる上に傾向分析も出来るのではないかと、完全に試験対策のやりやすさで選びました。 |
| 足立 | 今は反省していますが、将来を考えて知的財産法を選択しました。実際のところ、知的財産法をやりたいと思って大学院に入り、どんな法律かわからないまま知的財産法は勉強しよう、やらなきゃいけないと思っていました。勉強時間も演習の割合も多めに取っていたので、いまさら他の科目に変えるのは効率的ではない、という状態でした。結局、知的財産法で受けましたが、受験対策としては有利な科目ではないと感じています。 |
| 竹村 | もともとは労働法をやろうと思い、学部の時からゼミにも入っていました。ところが、大学院で単位を落してしまい、翌年取らなければならない授業と労働法が重なっていて、取れませんでした。そこで仕方なく知的財産法を選びました。成績もそれなりに良かったのでなんとかなりましたね。 |
| 選択科目の選び方に関してのアドバイスはありますか。 | |
| 竹村 | 自分の好きな科目が一番モチベーションが上がると思います。ただ、余りマニアックな科目に走ると、答練や模試の受験者が少なく不利な面があります。メジャーな労働法、倒産法、知的財産法くらいに絞った方がいいと思います。 |
| 足立 | 特に希望がないのであれば、大多数が選ぶ科目が資料と演習量が整っています。自分が答練で出した成績で自分の位置も知ることも出来ます。職業的興味と将来の方向からは離れて選んだ方がいいと言うのが私の教訓です。 |
| 山形 | よほど興味がない限り、マイナー科目は選ばない方がいいと思います。倒産法に関して言えば、他の法律との関連が強い科目で、民法、商法、民事訴訟法、執行法と民事系の法律科目に関ってくるので倒産法を勉強するにあたって、時間をかけ過ぎると言うことはないと思います。ただ、倒産法は短答式にありませんから、直前期には時間をかけられないので、早めに対策をすることが必須です。 |
| 馬屋原 | 私は興味だけで租税法にしてしまったのですが、大学院で税理士の方がアドバイザーとして自主ゼミを開催してくれており、偶然に勉強環境がありました。マイナー科目はその大学で勉強環境があるかどうかをきちんと調べてから選択したほうがいいですね。 |
Wセミナーの活用方法
| 皆さんはWセミナーをどの様に利用しましたか。 | |
|---|---|
| 馬屋原 | 私は短答式試験対策、論文式試験対策、そして全国模試とアウトプットを中心に利用しました。早い時期から論文式対策をWセミナーで行ったことが今日につながったと思います。 |
| 山形 | 1回目の受験でWセミナーの答案練習会を利用しました。答練は点数がどうこうではなくて、全体の中で自分がどれくらいの位置にいるのか、これくらいの感触だと何点になるのか、を身をもって体験出来たことが重要だと思います。これくらいの難易度の問題なら皆も解けないな、こう書いておけば落ちはしないだろう、というボーダーラインの感覚をつかむことが出来ました。 |
| 足立 | 秋口からすべて通学で短答式と論文式の答案練習会を前後期とも取り、全国模試も受けました。私は未修者なので、長文の答案を解くという練習量が絶対的に少ないと感じていました。初めて見る問題を決められた時間内に解く、これだけの情報量を処理して何枚の答案を書くのか。そのためには、書く練習の数を積む必要がありました。だから通学で答案練習会に出て答案を書くことは、絶対に必要だと考えました。実際に答練の最初の頃は答案を書ききることが出来ませんでした。次の段階では書ききれても構成がおかしい。そこで構成をしっかりしようとすると、また書ききらない事態になる。この試行錯誤を乗り越えて、自分の落ち着く型をみつけるのに非常に役立ちました。 |
| 竹村 | 全国模試を受講しました。その理由は典型問題からひねりの利いた問題まで、本試験に出得るクオリティの出題がされるからです。また比較的受講料が安価なのも、財政的に苦しい受験生にはありがたいですね。今年はそれなりの成績を全国模試で取れましたので、落ち着いた状態で本試験に臨むことが出来ました。 |
| 直前期にはどんな勉強をされましたか。また、どんな教材を見て勉強していましたか。 | |
| 馬屋原 | 短答式は忘れてしまうので、前日は短答式の詰め込みでしたね。前2日間はそんな感じでした。 |
| 山形 | 1カ月前から当日までは、ほとんど過去問を解いて本試験の感覚に自分のポイントを修正しました。後はまとめノートを作っていたのでひたすらそれを見ていました。 |
| 足立 | 直前期は判例六法をどこへ行くのにも持ち歩いて読みました。家でも自習室でも落ち着かない時期だったので、あちこちにでかけて、移動中や移動先でひたすら判例六法を読んで、「これを全部覚えていれば通る!」と自己暗示をかけました。ですから直前1週間と試験期間中は判例六法をひたすら読んでいました。 |
| 馬屋原 | 私も本試験前日は短答式の勉強がメインでしたね。ただ、短答式の勉強ばかりになると論文式がおろそかになるので、論文式の勉強も普段通りに出来るだけやるようにしていました。 |
| 本試験期間中、体調管理などはいかがでしたか。また中日はどう過されましたか。 | |
| 竹村 | 体調は問題ありませんでした。実は試験会場に行く電車の中で勉強していたら、からまれてしまいました。一生で一番大事な試験があるので、と無視して勉強し難を逃れました。中日は普通に家にいるとぼーっとしてしまうので、大学の図書室で夕方まで勉強しました。 |
| 足立 | マッサージに行くといいと言われて2日目の帰りに行きました。マッサージを受けている時はよかったのですが、私は初めてだったのでもみ返しが酷く、中日はベッドに横になって、うなりながら判例六法を読んでいました。中日は余り慣れないことをしない方がいいですよ。 |
| 山形 | 今年の受験に関しては、体調も良好でした。1年目は、緊張のあまり電車の中で過呼吸になり、電車を降りて会場に着くまでの間も吐き気がするくらいでした。体調が悪いというよりも、本当は極度に緊張していたためだと思います。今年の中日はゆっくり過しました。2日目が終わってから、飲みに行き、中日は勉強の予定を入れず昼までゆっくりしていました。さすがに気になって昼から復習を始めました。 |
| 馬屋原 | 実は私は司法書士試験も受けており、大学に入学した年から国家試験を受けなかった年がなくて、試験慣れしていました。試験慣れして、試験当日は元気になるタイプです。中日は余り人に会いたくなかったのですが、家では勉強できないので、TACの自習室に行きました。 |
広い視野と継続する力
| 最後にこれから新司法試験を受験される方へのアドバイスをお願いします。 | |
|---|---|
| 竹村 | 私は当初自信が持てなくて伸び悩んでいる部分がありました。やはり時間をかけて勉強方法を変えていく中で、成績もそれなりに上がってきて、短答式も苦手が得意になりました。無理だと思わないで継続してがんばれば必ず受かる試験です。 |
| 足立 | うまく人と一緒にやることが大事です。勉強会で緊張感を持ってやるということも大事ですし、実際には顔を見たことがない人であっても、答案練習会で相対位置を知り、競い合うことで初めてわかることもあります。試験勉強は孤独になりやすいものですが、周囲とコミュニケーションを取りながらやって行けば、プレッシャーも減り、自分の置かれている位置や危機感もほどよいものになると思います。 |
| 山形 | 試験勉強をしていると山積みになっている目の前の課題にどうしても目が行きがちです。私が2回目の受験で一番大事にしたのは、当日のイメージです。そして合格後のことを思い、追い詰められないように広い視野を持ちながら勉強して行くのがいいと思います。 |
| 馬屋原 | 本試験に完璧な状態で臨む人はいません。皆不完全なままで受験します。出来ない、あるいは不得意がある自分を責めずに、自信を持ってがんばってください。 |
| いろいろと貴重なアドバイスをいただき、ありがとうございました。法曹としてのご活躍に期待しています。 |






