人物試験対策室

官庁訪問対策(国家 I 種編)

官庁訪問の概要

  国家公務員 I 種試験は官僚になるための資格試験に過ぎず、最終合格しても採用内定がなければ霞が関で働くことはできません。各省庁で行われる職員との面接を繰り返し行い、時に集団討論をとおして採用内定を獲得する作業が、官庁訪問と呼ばれるものです。

 

 ではなぜ官庁訪問が重要なのか。これは採用内定を獲得するためであるとともに、これからの激動の時代を日本が乗り越えていくには、多様な人材が必要であると官庁の人事担当者が考えているからでもあります。各官庁の人事担当者は試験の順位だけでなく、官庁訪問の面接によって人物本位による採用活動を行っており、今まで以上に採用内定のチャンスが広がったと言えます。なぜなら近年の傾向として、各官庁では試験の成績や出身大学という表面的な基準よりも、何を考えて学生生活を送ってきたのか、何を培い、今後どのように活かそうとしているのかという内面を見極めた上で採否を決定するようになっているからです。その結果不利と考えられがちであった東大以外の大学出身者、留年、既卒、社会人、女子学生なども、自信を持って積極的に自分をアピールし、夢を実現できるようになりました。試験の順位が悪かったからといって、諦めるのは早計です。

 

 また官庁訪問時には東大生が有利だとか、行政職受験は他職種に比べて不利といった話も良く聞かれます。しかし東大生はそもそも母集団の数が違うのです。「採りたい東大生」もいれば「採りたくない東大生」もいることを忘れないこと。また行政職受験者の多くは地方上級試験との掛持ちから国家 I 種オンリーという情熱的な者が実に少ないようです。受験者が他試験を控えて官庁訪問を早々に断念してしまったり、志望動機を固めておらずちょっと突っ込まれただけで動揺してしまったりするのを官庁の人事担当者が見逃すはずがありません。将来官僚になるべきパワーを持つ訪問者が少ないだけで、官庁側が行政職受験者を敬遠しているのではないのです。大いに自分をアピールし、攻めの官庁訪問で内定を獲得してください。

 

 官庁訪問は、試験科目ではないが倍率およそ2.5倍のバトルであると言われます。平成17年度のデータでは、行政職、法律職、経済職の最終合格者合計760人(うち女性129人)のうち、採用内定にまで至ったのは約300人で、半数以上は内定を獲得していません。官庁訪問期間中は肉体的にも精神的にも厳しい日々が続きますが、わずか2週間の短期決戦を笑顔で締めくくることができるよう、万全の態勢で臨んでください。官庁訪問はあなたの知力、体力、そして国家公務員への熱い思いが試されているのです。

 

官庁訪問のルール

 近年官庁訪問の形式は、人物本位の採用を行うため毎年のように変更が重ねられています。平成13年度、14年度は、各省庁の採用担当課の合意事項として1次試験合格発表以降に採用に関わるあらゆる活動(業務説明・官庁訪問)が行われることとされました。つまり官庁訪問は1次試験に合格した受験者にのみ認められた権利となったのです。しかし一方で各省庁は短期間で優秀な人材を見抜くため、初日から訪問者を拘束し、朝9時から夜10時まで1つの官庁で面接をする場面が多く見られました。

 

 平成15年度は、1次試験が1ヵ月早まり、官庁訪問も業務説明期間と採用面接期間に分かれました。採用面接は最終合格発表後に行われることとなりました。
さらに、平成16年度は、業務説明期間というものがなくなり、最終合格発表日から採用面接が行われることとされました。朝9時に人事院で合格発表を見て合格の余韻に浸っている暇もなく各希望官庁に訪問しなければならないので、非常にあわただしい初日となりました。

 

 そして、平成17年度は、最終合格発表の翌日から採用面接が行われることになり、官庁訪問に対する心の余裕ができたと言えます。
平成19年度の官庁訪問は次項に示したスケジュールにのっとり行われると人事院からホームページ上で発表されています。官庁訪問に臨む受験者は、最新の動向に注意してください。


平成19年度スケジュール

4/29(日)国家 I 種 1次試験
5/11(金)1次試験合格発表
5/20(日)国家 I 種 2次試験(記述)
5/21(月)~23(水)本府省合同業務説明会
5/24(木)~6/8(金)国家 I 種 2次試験(人物試験)
6/19(火)最終合格発表
6/20(水)官庁訪問開始
7/5(木)内々定解禁

  • ※6/20(水)から6/22(金)、6/25(月)から6/27(水)までの各3日間は、受験者が訪問した同一省庁に同訪問日の翌日・翌々日は訪問できない。
  • ※6/28(木)と6/29(金)、7/2(月)と7/3(火)の各2日間は、同一省庁に2日以上続けての訪問はできない。
  • ※土曜日および日曜日は官庁訪問の受付をしないことから、金曜日(6/22、6/29)とその次の月曜日(6/25)に訪問することは、「2日以上続けて」の訪問にあたるので不可。
  • ※6/27(火)または6/28(水)に訪問した者が6/29(木)に当該省庁を訪問すること、7/4(火)に訪問した者が7/5(水)に当該省庁を訪問することは差し支えない。

訪問の流れ

身上書への記入

 

 初回のみ記入します。身上書は後述するが非常に重要。したがって、いい加減に書いて命取りとならないように注意して記入しましょう。

 

原課との面接

 

 ここでは当該志望省庁の志望理由、関心のある部局、どのような話を聞きたいか、あるいは当該省庁と関わりのある施策などについて尋ねられます。
さらに、仕事のやりがいや問題意識など、疑問に思っていることを聞くことができます。省庁で働く人がどのような問題意識を持っているかを直接聞くことができる貴重な機会です。当然、この会話での態度や内容などで人物評価がなされ、人事に伝えられるので油断してはいけません。かといって、萎縮したり、きれいごとだけを言ったりしても信用されません。元気良く、誠実に思っていることをハッキリ受け答えするのが一番よいでしょう。ポイントは、自分らしさを出せるかという点。
ここでの面接のやりとりは、いわば「言葉のキャッチボール」。「何か質問はありませんか」と聞かれたら、自分から積極的に仕事内容や待遇などについて聞いてみましょう。例えば、待遇に関して言えば、「残業で遅くなったときはどうするか」、「研修制度はどうなっているか」、「希望部局にはどう調整されるか」などといった単純な質問でも、疑問に思ったことは聞くことができます。その省庁に関心があるのであれば、その会話の中で最低でも1つや2つは聞いてみたいことが出てくるはず。会話が成り立たず、キャッチボールができない人は対象外となります。

 

人事課との面接

 

 原課の人との面接が終わると人事課の人と会います。ここでは原課の人の印象、会話の内容、感じたことなどを聞かれます。そのため、原課の人と話すときは、ただ漫然と話すのではなく、「人事課の人との面接ではいま話していることについていろいろ質問される」ということを念頭に置きつつ話すとよいでしょう。原課の面接が終わったらすぐに人事課の人との面接があるような省庁では、廊下はゆっくりと歩き、その間に印象深かった話を2つくらい思い出して、それを人事課の人に説明できるようにしておく必要があります。また、2回目以降の人事課の人との面接においても、前回、前々回の原課の人との会話の内容を聞かれたりすることもあるので、会った方の名前は必ずチェックするように心がけましょう。面接でのやりとりを「官庁訪問ノート」に記録し、次の訪問に活かしていくのも一つの手。いろいろな人と話していると、いつ、どの省庁で、誰と、どんな話をしたのかわからなくなってきます。面接が始まるまでの待ち時間はかなりあるので、その時間を有効に利用して官庁訪問ノートにいろいろ書いておくとよいでしょう。
最後に人事課の人に会えば、とりあえずその日の訪問は終了。受付で次回の訪問日を指定されます。こうして1回の訪問が終わるのに、短くて半日、長ければ丸1日かかると考えておきましょう。なぜなら、予約の時刻ぴったりに面接が開始されるわけではなく、多かれ少なかれ面接開始まで待合室で待たされるからです。回数が重なるに従って、省庁側がどう反応をしていくのか、その見極めが大切。自分があまり評価されていないにも関わらず甘んじて拘束を受け、最後に切られたら泣くに泣けません。中には自分から果敢に自分の評価を質問する人もいます。自分のことを大して評価していない省庁で拘束を甘受してしまえば、他の可能性を潰してしまうことになりかねないからです。少し乱暴な言い方をすれば、無駄足を踏まないためということです。このあたりが官庁訪問の山場です。

 

F.A.Q.

いくつの官庁を訪問できるのか?

官庁訪問をする前に、当然自分がどの官庁を訪問するのかを決めなければならなりません。その前提として、そもそもいくつの官庁を訪問することができるのか問題となります。すでに述べたように、訪問に際してのルールが決められていることや、1つの訪問で長時間拘束されることに鑑みれば、訪問できるのはせいぜい3、4官庁でしょう。

 


訪問する官庁をどのように決めればよいか?

官庁訪問の際に、どの官庁を訪問するのかというのは最も大きな問題となります。その決定に際しては、自分の関心や興味の度合いが大きな比重を占めることになるでしょう。
とはいえ、省庁別の採用予定人数も気になるところ。関心のある官庁の採用予定人数が少ない場合、関心の度合いは低いが採用予定人数がより多い官庁を狙った方が、内々定をもらえる確率が高いのではないかと心配するかもしれません。しかし、これは多くの場合間違いであると言わざるをえません。なぜなら、採用予定人数の多い大規模官庁は、当然のことながら官庁訪問する受験生の数も相当数に及ぶ一方で、採用予定人数の少ない官庁は、比較的受験生の数も少ない場合が多いからです。つまり倍率という観点からすれば、大きな差はないのです。それよりもむしろ、関心の度合いが低い大規模官庁を訪問するとなれば、志望動機のしっかりした多くの受験者を相手にしなければならない分、失敗する可能性の方が高くなります。採用予定人数に惑わされることなく、自分の関心のある官庁を志望官庁とするのがよいでしょう。

 


どの官庁を最初に訪問するのがよいか?

いくつかの志望官庁の中から最初に訪問する官庁を決めなければならない。初日に訪問するということは、官庁の側からすればそれだけ志望順位が高いと解釈されます。官庁の中には、第1回目の訪問の順番がそのまま整理番号になり、それが官庁訪問期間中ずっと使われるところがあったり、何日目の訪問かによって志望度ややる気を見ているところもあるようです。
結論を先にいうと、やはり第1志望の官庁には初日に訪問するべきです。確かに、最初のうちは面接慣れをしていないために気負いや緊張もあって、会話に詰まってしまうこともあるでしょう。ここでもし、「第1志望の官庁は、他省庁で場数を踏んで、面接慣れしてから訪問しよう」と考えて、2日目や3日目に訪問したとしましょう。その結果、自分の思うとおりにならなかった場合、どう思うか。「初日に訪問していれば……」と後悔することになりかねない。最初のうちは面接慣れしていないのはみな同じ。官庁訪問も回数を重ねるうちに、会話もスムースにできるようになります。悔いのない官庁訪問をするためにも、第1志望の官庁は初日に訪問することを薦めます。
また、前述したとおり、人事院が決めた官庁訪問ルールがあるので、そのルールを前提にした訪問の順序を考えなければなりません。早い時刻に面接が終わる省庁もありますが、基本的に夜遅くまで拘束され、1日に1省庁を訪問する、というのが一般的です。

 


官庁訪問の前にどのような準備が必要か?

官庁訪問の身上書に記入する内容は必ず事前に準備しておきましょう。身上書の記入に手間取っていると、後から来た受験生に順番を越されてしまい、それだけ待ち時間が長くなります。身上書に記入する事項としては、本試験の受験番号、長所・短所・趣味といった、普通の履歴書に書くようなことがあります。そのほか、特に問題となるのは、「志望動機」「官庁の志望順位」「学生時代に力を注いだこと」「最近の関心ある出来事」でしょう。この身上書は内定までの参考資料として使われ、面接の際もこれを参照しながら進められることも多いようです。いい加減に書いておくと、面接のときの回答に窮してしまうことにもなりかねません。ただ、身上書をうまく書くことができれば、面接官がそこを聞いてきた際に応答することで自分をアピールするチャンスを得ることができます。身上書は命取りにも命綱にもなるのです。
また、官庁訪問での面接の際に聞かれると思われる質問については、事前に答えを準備しておくことも重要です。身上書に書いたことについてはもちろんそうですが、それ以外にもいろいろと聞かれます。特に、「こんなことを聞かれたら困る」と思うようなことについては事前に答えを準備しておくべきです。例えば、確固たる理由なく留年している場合。「なぜ留年したの」という質問は答えに窮する質問でしょう。また、これまで司法試験など他の試験を受験していたが、夢かなわず、今年から国家I種を受けるような場合。「司法試験には受かる気がしなくなったので、国家I種に・・・」といった気持ちで官庁訪問に臨んだとすれば、「なぜ国家I種に転向したの」という質問は一番されたくない質問のはず。このように、聞かれたら困る質問にこそ答えを準備しておくべきなのです。言葉のキャッチボールが基本の官庁訪問において、沈黙はご法度です。したがって、どのような質問に対しても沈黙せずに済むよう、せめて、聞かれたら困る質問に対してはそれなりの答えを用意しておきましょう。いくら予想しても、想定外の質問は本番ではいくらでも出てくるのですから。

 


官庁訪問にまつわるいろんな噂があるようなのですが・・・

官庁訪問は情報戦です。したがって、待合室で積極的に周りの人に声をかけたり、携帯電話のメール機能を活用したりして情報交換するように心がけましょう。例えば、人事課や原課の人から何を聞かれるのか、といったことです。絞り込みが始まると、会う人の入省年数が違ってきたり、話す内容が変わってきたりすることもあるので、こうした情報は不可欠です。
ただ、こうした一方で、官庁訪問では、とにかくいろいろなデマが飛び交います。例えば、「○○省はもう実質的に内々定を出した」「○階の○号室は切られ部屋」「○○省は整理番号○○以降が厳しい」「○○省、女性は1人しか採らない」「○○職はほぼ採らない」「1軍部屋は○号室、2軍部屋は○号室」「○○省はもう締め切ったらしい」「○○省では○○さんがキーパーソンらしい」などといったものです。中には真実もありますが、ほとんどが真偽のほども疑わしいものばかりのようです。いろいろな人に声をかけて、複数の情報源からその真偽を自分で判断してください。
もっとも、そうした真偽不明なデマに惑わされずに自分の熱意を伝える努力、理論武装することが大切なことはいうまでもありません。

 


絞り込みはいつから始まるのか?

毎年、早い官庁で1回目の訪問日から、遅い官庁でも2、3回目の訪問日あたりから絞り込みをかけてくるようです。

 

絞り込みが始まると、対応はどう変わるのか?

 

省庁の中には、評価が高ければ夜中まで拘束され、飲みに行ったりするところがあったり、終電がなくなり、タクシーで送ってもらう人もいるようです。これは極端な例かもしれないが、確実に差別化がなされます。例えば、評価の高い人が共通して会うキーパーソンの存在が見え隠れすることがあったり、次に予約を入れたにも関わらずその日の夜に電話で「明朝必ず来てください」と言われることがあったりします。逆に、評価がそれほど高くなければ、次の予約が入らずに「何かあったら、こちらから連絡します」と言われることが多いです。また、評価によって待合室が異なる場合もあるようです。
ただし、全ての省庁で上に述べたような対応をするわけではありません。この省庁とは「縁」があるかないかを瞬時に見極め、ときに見切ることも大切です。
そして、この時期は、省庁と縁がないということで「切られる」人も大勢出てきます。それまでは持ち駒が2、3省庁あった人であっても、徐々に切られて持ち駒が減ってくる時期です。切られてもショックを受けずに他省庁で挑戦する姿勢が非常に重要となってきます。切られた人の中には、自分の人格を否定されたと感じる人も少なくないでしょう。しかし、官庁訪問でうまく行くか否かは、実力や努力とともに、運や縁、相性も大きく左右します。したがって、切られたとしても自分の全人格を否定されたわけではないので、ショックを受けすぎて官庁訪問をやめてしまうということのないようにしてほしいものです。最終的に内々定を獲得した人の中にも、他省庁で切られた経験のある人はたくさんいます。

 

 

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